渡辺氏が自ら設計した「SILHOUETTE」の一室にある事務所を訪れた。元代々木に建つその建物は、スタジオタイプやメゾネットタイプの部屋が揃う16戸の集合住宅。各住戸のバルコニーには、自由に角度を変えられる可動ガラスルーバーがあり、そこに住む人や、そのときの季節によって建物の表情を変えるのも魅力の一つである。
渡辺康建築研究所「SILHOUETTE」
「個人住宅の場合は住み手が決まっているので、その人のライフスタイルやオリジナルな部分をできるだけ引き出し造っていこうと思っています。でも、集合住宅の場合は、集まって住むということの面白さを生かせるといいなと思っているんです。住む人それぞれの姿をなんとなく感じられることで、全体の印象が魅力的になって、刺激しあえる場所になればいいなと思います。この建物では、バルコニーのガラスルーバーを色々と角度を変えられるようにしたんです。人や季節によって微妙に建物の表情や見え方が違ってくるんですよ。夜の見え方はまた素敵で、フットライトで照らすと雰囲気がまた違っていいんですよね。
集合住宅でも個人住宅でも、建物を創るときに考えることは、壁面を赤く塗るとか、窓を丸くするとか三角にするとか、そんな奇抜なことではないんです。それ以前の問題として壁と床と天井で囲まれている世界が、幅が広かったり、天井が高かったり低かったり、そこに光が上から入ってくるとか下から入ってくるとか、そう漠然としたことを感じられる空間かどうかが大切だと思っているんです。そういう漠然としたことを考えながら歩き回れる空間。薄目を開けて歩き回って、なんとなく気持ちいいなって感じる空間になっていればその建物は成功だと思うんですよ。
KAFKA HAUS
森野ハウス
そして、色んな空間があった方が面白いんじゃないかって思うんです。すごく開放的な空間だったり、一人で篭るような場所だったり…。本当は色んな空間があるのに、普通なかなか意識しないことが多いんですよね。天井の高い、大きなリビングがあったかと思ったら、その奥に薄暗くて天井が低くて、床も数段降りているような隠れ家みたいな空間があったら、意外にメリハリがついて落ち着けたりするんですよ。細い橋のようなところを渡って、小さな入り口を入って、玄関を抜けるとすごく開放的な広いスペースが広がっていたり…。そのギャップみたいなものに面白さを感じるんですよね。
でも、一般的には家とか部屋は「こういうものだ」っていう先入観があると思うんですよ。三角の屋根があって、玄関があって、リビングとダイニングがつながっていて…というのが普通だって大半の人が思っているんですよね。敷地も予算もたくさんあればそうすればいいんですけど、限られた広さの中では、本当に快適にするには、もっと可能性を拡げて考えたいんです。だから、少し発想を変えて先入観をなくしてもらいたいんです。そして、それぞれの条件で快適な住まいを手に入れることができればいいと思います。」
高橋ヒュッテ
 
1962年東京都生まれ。
84年東京芸術大学美術学部建築学科卒業。86年同大学院修士課程終了。86年〜96年アルテック建築研究所入所。96年渡辺康研究所設立。96年「平成6年度東京建築士会住宅建築賞金賞」受賞、現在は日本大学生産工学部、神奈川大学の各大学で非常勤講師を勤める。

お問い合わせ先
渡辺康 建築研究所
住所 〒151-0062
東京都渋谷区元代々木町21-9 シルエット202
TEL : 03-5465-5407
URL:http://www.bekkoame.ne.jp/~wy-aa/
e-mail :wy-aa@aqu.bekkoame.ne.jp
関連情報
デザイナーズ物件に興味があるなら・・・
デザイナーズCLUB


e-sumai.com