part1
窓いっぱいのグリーンビュー
広 い玄関を上がり居間に一歩足を踏み入れると、ぱっと目の前が開けた。 心地よい空間が外にむかって広がっている。これが開放感の源なのだった。
天井まである大きな窓からは、静かな緑のじゅうたんが広がっているのが見える。
時折、風が吹くと、こんもりした小さな森からざわざわと木々の触れ合う音が波のように広がり聞こえてくる。
一瞬まるで山の中にいるような錯覚におちいってしまう。
不動産泣かせ グリーンビューというリクエスト
夢の住まいには眺めのいいお風呂をつくりたい
自分の居心地が良いのが一番いい家
不動産泣かせ グリーンビューというリクエスト




家を選ぶときのプライオリティは、まずグリーンビュー。次は、その物件に足を踏み入れてみて、すぐそこに住みたいと思えるかどうか。 マンションを探していて、入った途端に、ここが好き!と感じたりしたことってありませんか?ぴんと来るもの。それが一番重要です。


もうひとつ、住む場所には、息苦さがないこと。部屋に入ってきた時に、別に素敵だなと感じる必要はないのだけれど、わーっとした威圧感や圧迫感がないということが選択の大切なポイントでした。


ここは、窓が大きいのが気に入りました。別の部屋にも大きな窓があるのですが、それがすごくいい。やはり家で仕事をするので、はずせない点ですね。下から天井までの窓がある物件ってけっこう少ないものですよね。


夫がすごくグリーンビューにうるさいんです。私は目の前が開けていれば別にグリーンビューでなくてもよかった。それこそ都心の夜景でもよかったのですが、夫は高いところから眺める景色は好きじゃないんです。それこそ高層マンションの10階とか20階からの景色はだめ。逆にここの1階でもきっとだめだと思う。3階から5階ぐらいで、しかも目の前が抜けていて、グリーンビューというのが彼のリクエスト。すごく難しいでしょう? 東京では、とても贅沢なことかも知れません。以前住んでいた広尾のマンションからも緑が見えました。それがある日、なぜかわからないけれど、目の前の樹木が切られてしまったんです。それが原因で引越しを考えたとも言えるかな?


東京で緑が見える場所というと、公園に隣接した場所くらいしかないですよね。不動産屋さんに「緑が見える都心の家」と言って依頼してから、見つかるまでに半年ぐらいかかりました。あまりこの点にこだわる人はいないみたい(笑)。

夢の住まいには眺めのいいお風呂をつくりたい




ここを買ってから、もうこれでチラシを見なくて済むと思って、すごくほっとしました。半年ぐらい探し続けて、60件ぐらい部屋を見ているとやっぱり嫌になってきますよね。


この家は、どこからも緑が見えるから、居心地がいい。東京にいるのを忘れさせてくれるような感じでリラックスできる家ですね。間取りは3LDK。天気のよい日には、ベランダに出て子供と遊びます。夜になると東京タワーのライトアップがきれいで、あれでだいたい時間がわかりますね。難点を言えば、廊下があまりなくて、すぐ部屋になってしまう点。部屋同士の独立性がないから音とか、ちょっと気になります。仕事専用で使っている部屋もあるので、音が聞こえる環境というのはだめなんです。


「自分の家を建てないの?」といろいろな人に言われるのですが、実はそういう欲求はあまりないんです。面倒くさいなあというのが、先に立っちゃって。でも一戸建てを買わなかったのは、グリーンビューの家に住みたいという条件に関係しているかな?都内で一戸建てで、しかも景色がいい場所というのは、あり得ないじゃないですか。実は一戸建ての購入もちょっと考えたのですが、それでは窓からの景色はいいわけがないと気づいてマンションにしました。


実は、私はお風呂がすごく好きなんです。だから、もしも理想の家を作るとしたら、広くて外が見えるお風呂を造りたい。普通お風呂はあまりいい場所に造らないじゃないですか。その逆をして、すごくいい場所にお風呂を造って、緑を見ながらお風呂に入るというのが、ちょっとした私の夢かな? お風呂自慢の家とか、お風呂特集の本とかは必ず買っちゃいますね。ババくさいですねぇ(笑)。


温泉がすごく好きなんです。行くなら、日本家屋風の宿ですね。温泉宿になら「ここに泊まりたい」とか「造りが素敵」だとか、そういうこだわりはすごくもっています。 ホテルだとパークハイアットが好きです。なんかすっきりしていて、シンプルなところがいい。あそこのラウンジも窓が広いじゃないですか。開放的な雰囲気が好きなんですね。ちょっと離れたところだったらフォーシーズンズも好きな場所です。あそこには庭園があるじゃないですか。やっぱり家選びと共通しているところがありますね。グリーンビューと開放的な空気感がある場所が好きなのかな?


海外だったら、バリ島のヌサドゥアビーチホテルはすごく好きだった。「ここまでゴージャス?」という感じで、笑えるぐらいのゴージャスさ(笑)。非日常っていう感じでよかったですよね。まるで映画のセットの中にいるような気持ち。自分でお姫さまを演じるしかないような場所。「こんなに広くてどうしたらいいの?」っていうホテルだったけれど、それはそれでとても素敵でした。あのばかばかしいほどの広さというかゴージャスさって、日本では無理な望みですよね。

自分の居心地の良いのが一番いい家 気持ちよければそれでいい




私はこういう「お宅拝見」みたいなものは、ほとんどお断りしています。なぜかというと、人に見せることを念頭に置いていない家なんです。見て頂けばわかるように、ほとんどものが置いてないんです。いまだに引っ越したまま完成されていない状態が、2年続いている。「自分がよければいいや」と割り切っているので、自分にとって居心地がよければ、それが一番なんです。


すごくゴテゴテ飾り立てている家や、一部のすきもなく、どこから写真を撮られても大丈夫みたいな家は、落ち着かないんです。逆にちょっとスキがあるくらいのほうがいい。本が著者別に並べてあったりとか50音順に並んでいたりすると……。なんかだめなんです。見ているだけで、この人とはやっていけないなあと思ってしまう。人の家に行ってもちょっと散らかっているぐらいのほうが心地いい。初めて来たのにリラックスできる開放的な家がいい。気負っていないというか……。自分自身が、この中途半端さを不便に感じていないのです。椅子もすぐ足りなくなって、仕事用のを持ってきたりして、つぎはぎ状態ですけれど、まあいいかなと思っています。私にとっては、家はヨソユキの場所ではないんです。それこそ洋服とかバッグとか身につけて外に出るものなら人の目をすごく気にしますが、住むことに関しては自分が気持ちがよければ、それが一番かなと思います。


それこそ最先端のブランドを着て、おしゃれしてバリバリ気合いが入っている人の家に行ったら、割と気が抜けている家だったとか、私はわりとそっちのほうが好きですね。この人の家は見せるための家じゃないんだなと思うから。それを私に見せてくれたということで、なんとなくこの人は、心を開いてくれているのかなと思ったりする。


家に人がくるのが得意じゃないから、ホームパーティとかも全然だめです。苦手。面倒くさいから食べに行こうよと言っちゃう(笑)。お招きするからには、なんかしないとだめでしょう?ひとことで言ったら無精なんですね。ホームパーティに命かけている人とかいるじゃないですか。お客様のためにこのランチョンマットを出し、お料理を素敵に盛りつけして、みたいな……。そういう人のところにお邪魔するのは好きですよ(笑)。素敵、素敵ってちゃんとほめます。けれど、それをやりたい気持ちはまるでわからない(笑)。 家は自分がいるための場所です。自分の空間ですね。


そうそう。いつも思うけれど、お宅訪問を待ち望んでいる家は、きっとこの世にたくさんあるはず。ぜんぜん、そうじゃない(私の)家なんかに来てもらってすみません。こういう取材を受けるたびに申し訳ない気持ちになります。(笑)


(構成・文/メディアム 成田恵子)

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